師走のご挨拶

 徐々に寒くなり、本格的な冬の訪れを感じる今日この頃ですが、皆さまにおかれましては、いかがお過ごしでしょうか。

 12月は「師走」と呼ばれますが、この「師」が「僧侶」を表している、という説があります。曹洞宗では先輩、年上の僧侶を「老師」と言い、同輩、後輩を「宗師」と言います。すなわち「師(し)」が「はす(馳す)」月なので「しわす」という説です。

 実際問題として、僧侶が一年の中で12月だから特に忙しいのか、と聞かれると、私個人はそれほどでもありません。
 12月は「成道会」と言う、「お釈迦さまがお悟りを開かれたこと」を記念して行う法要があり、また年末は、ご先祖様に新年のお供えをする為に、檀信徒の皆さまがお越しになります。しかしながら7~8月のお盆、3月、9月のお彼岸と比較すると忙しさは全く感じません。

 この「師馳す」という言葉は、普段は落ち着いてどっしりと構えている人(例えば僧侶)であっても、12月になると忙しく東西に走り回る、つまり、年の暮れが近づくと、皆さま何故か忙しくなるのですよ、という「12月の忙しさを上手く言い回した表現」であるところに、趣きがあると思います。

 「忙しい」は「心」を「亡くす」と書きます。
 何かと気が急いてしまう時節ではありますが、忙しい時ほど、一旦落ち着いて、物事に取り組む事が大切です。常日頃から「心」を「なく」してしまう事がないように、いつもゆとりと思いやりを持って生きる私たちでありたいものですね。

 まごころ霊堂の歳末ですが、例年通りクリスマス明けの12月26日から31日までお寺を開放します。
 どうぞご家族の皆さまで、大切なご先祖様に歳末のお参りにお越し下さい。
 いつものお花、お菓子、果物に加え、お餅やみかんもお供えください。

 本年も何かとお世話になりまして、ありがとうございました。
 どうぞ、良いお年をお迎えください。
 来年もどうぞ宜しくお願い致します。

 画像は先日完成したばかりの「まごころ薬師」様です。またの機会に改めて紹介させて頂きます。

令和六年師走